複線図の描き方初級編
複線図とは?
技能試験の配線図は、候補問題を見ても分かるように器具間の配線の様子を1本の線だけで表した「単線図」と呼ばれる簡易的な形式で出題されます。
当然、実際の器具間は1本の電線でつながっている訳ではなく、電気の閉回路といって電源から供給された電気が器具を通ってまた電源に戻れるように、回路上にある器具間をつなぐには最低でも2本の電線(2心)を必要とします。
複線図とは、その電気の道筋を複数の線で詳しく表した配線図のことです。
複線図は「転ばぬ先の杖」
複線図が描けないからといって電気工事士になれない訳ではありませんし、技能試験で単線図のまま作業に移っても何ら問題はありません。
ただでさえ短い試験時間で、複線図を描いてる時間のロスを考えれば…という考え方も分からなくもないですが、逆に試験中ずっと考えながら作業する事を思うと、結果的に複線図を描かない方が時間のロスは大きいかもしれません。
一方、複線図を描いてしまえば、後はその通り施工するだけなので作業中いちいち考えなくて済みますし、間違いや凡ミスも減らせるはずです。
慣れれば2〜3分で描き上げることは十分可能ですので、是非マスターしておきましょう。
まずは簡単な複線図を描いてみる
それでは、例題から実際に複線図を描いてみましょう。
一見難しそうに思えるかもしれませんが、何度か練習していればすぐに慣れます。
また最初のうちは回路うんぬんよりも、次に挙げるポイントを抑えながらマニュアル通りに描いていればOKです。
- 複線図を描くポイント
- 【1】接地側電線(白)は、電灯、コンセントにつなぐ
- 【2】接地側電線(白)は、決して点滅器(スイッチ)につないではならない
- 【3】非接地側電線(黒)は、点滅器、コンセントにつなぐ
- 【4】非接地側電線(黒)は、決して電灯につないではならない
【例題で練習】
これが単線図と呼ばれる配線図です。
1本の線で結ばれているだけなので実際の配線の様子は分かりません。
電源の「1Φ2W 100V」とは、「単相2線式100V」という意味です。
中央の円は「ジョイントボックス」を表し、電線同士の結線は必ずこの中で行わなければなりません。
【器具の配置確認】
別の紙に単線図の配置通り器具類を描きます。
配置を間違えて組み立ててしまうと重大欠陥となりますので、ここで間違わないように!
【ポイント!】
電線被覆の色を明確にするため、電源の接地側を[○]に、非接地側を[●]としておきます。
【最初に接地側電線を描く】
先に電源の接地側電線(白)を電灯、コンセントそれぞれにつなぎます。
【次に非接地側電線を描く】
次に電源の非接地側電線(黒)を点滅器、コンセントそれぞれにつなぎます。
【電灯と点滅器(スイッチ)をつなぐ】
最後に電灯と点滅器(スイッチ)をつなぎます。
残った配線はここだけなので、おそらく間違えることも無いでしょう。
電線の接続箇所に●印を付けておきます。
【接地側電線の色を書き加えます】
電源の接地側と直接つながる電線は"白"になります。
「W」は"White"の頭文字です。白線だと分かれば「白」や「シ」など書き方は自由です。
【非接地側電線の色を書き加えます】
電源の非接地側と直接つながる電線は"黒"になります。
「B」は"Black"の頭文字です。黒線だと分かれば「黒」や「ク」など書き方は自由です。
【最後に残った電線の色を書き加えて完成!】
2心ケーブルは黒と白の2色の心線になりますので、残りの色は必然的に図の通りとなります。
特に指定がなければ残った線の色は採点に影響しません。
初級編おさらい
初級編では、まず前半で挙げた4つのポイントを頭に入れ、ここまでやってきた手順で例題の複線図を完璧に描けるようにします。
実は、この「描く手順」も非常に重要なポイントで、間違えないためであることはもちろんのこと、回路を理解する近道にもなります。
- 複線図を書く手順
- 【1】単線図に従って器具の配置を描く
- 【2】電源の接地側電線(白線)から描き始める
- 【3】次に電源の非接地側電線(黒線)を描く
- 【4】残りの電線をつなぐ
- 【5】電線の色を書き加える
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